蛍光X線膜厚計
蛍光X線膜厚計は、主にメッキの膜厚を非接触・非破壊で測定するために使用します。X線は、コリメーターやキャピラリなどでサンプルの微小領域を照射し、検出した蛍光X線のスペクトル波形から、短時間で皮膜成分を定性し、厚み(定量)を行います。 電子部品、自動車部品、貴金属・装飾品の品質管理に用いられます。
【アプリケーション例】
- 電子部品(コンデンサ・抵抗などのチップ部品の電極膜厚、プリント基板の金メッキ、パラジウム、ニッケル多層メッキ膜厚、コネクタやスイッチ、ケーブルの接触部分の膜厚、半導体のリードフレーム銀メッキ、錫メッキ膜厚及び合金メッキの成分測定)
- 自動車部品(グリルなど樹脂めっき部、インテリアなどの装飾、エンジン・燃料・ボルト廻りの亜鉛メッキ、亜鉛ニッケル合金メッキ、無電解ニッケルメッキ、複合メッキ等)
- 切削工具や金型など、硬さや耐摩耗性を必要とする材料の表面処理部分の厚み
- 貴金属・装飾品・歯科材料では、貴金属合金の組成を測定します。
半導体検出器 蛍光X線膜厚計
検出器に半導体を搭載しています。液高分解能の半導体検出器は各エレメントのピークが明確になるため、二次フィルタが不要です。 スペクトルピークのドリフトを最小限に抑え検量線の長期安定と正確さをもたらします。X線管と検出器をモジュール化し、コンパクトに設計することで、競合機器と比較して三倍以上の測定カウントを得られます。これにより、ボーマンシステムは測定時間を短縮でき検出限界を下げ、精度を向上することができます。
【特長】
直感的なユーザーインターフェース
先端技術で測定をより簡単に Simple!
ボーマンのソフトウエアは、直感的に操作できるようなデザインです。
検量線のショートカットや測定記録の検索機能、簡単なレポート作成機能など最先端のソフトウェアによって強化されています。
ユーザーは、無制限に新しいアプリケーション・レポートを作成することができます。
すべての測定値はデータベースに保存され、すべてのユーザーレベルはパスワードで保護されています。
比例計数管 蛍光X線膜厚計
日立ハイテクアナリティカルサイエンス社製 X-Strata920シリーズ
検出器に比例計数管を使用しています。コストパフォーマンスに優れています。 半導体検出器より検出窓が大きく、カウントレートが高いので、繰返し測定の再現性に優れています。X線管球は自社製OXFORD社のマイクロフォーカス、Be窓を採用しています。
【特長】
・超ロングセラー 前モデルCMI900から約20年以上
・操作が簡単なGUIインターフェース
メーカーサイトはこちら(弊社は膜厚計の総代理店です)
BOWMAN(ボーマン) コリメータシステム
Gシリーズ
下面からX線を照射するタイプの蛍光X線膜厚・分析計です。 薄膜から厚膜まで測定でき、かつ宝飾品や貴金属の成分測定ができます。 BOWMANシリーズ中、最小です。 【主な用途】 ・ネジ・ナットなどの防錆防食めっきの厚み・成分測定 ・貴金属・宝飾品の品質管理や鑑定
|
Bシリーズ/Pシリーズ
小さいサンプルから大型サンプルまで対応できるモデル。 めっきの厚みと成分測定、めっき液分析、及び簡単な材料判別ができます。 コリメーターは4種類(標準)搭載。 PシリーズはXYステージによりプログラミング測定ができます。焦点距離可変で凸凹サンプルの測定も対応。
【主な用途】 ・電子部品の電極、接点のめっき厚み・成分測定 ・プリント基板のAu、Pd、Niめっき等 ・車載部品のめっき厚み ・機能性めっきの(多層膜・合金膜)の測定 |
Lシリーズ
BOWMANシリーズで最大のチャンバー。 長尺物、大型部品、ジグを用いた多点測定に最適。 焦点距離可変で凸凹サンプルの測定も対応。
【主な用途】 ・長尺物や大型部品のめっき厚み測定 ・凸凹形状のサンプル |
X-Strata920シリーズ
ミニウエル
ネジやナットなどのメッキ厚み測定専用。 トレーの位置を調整して、最大約150mm高さのサンプルまで対応。
【主な用途】 ・ネジ・ナットなどの防錆防食めっきの厚み
|
XYモータライズド
大型XYテーブルでプログラム測定ができます。 最大サンプル高さは約30mm。 コリメーターを最大6種類搭載可能。 焦点距離は固定。
【主な用途】 ・プリント基板のAu、Niめっき ・コネクタ、リードフレームなどの電子部品 |
蛍光X線膜厚計の正確度(Accuracy)と精度/再現性(Precision)について
蛍光X線膜厚計で厚みや成分を求める場合、検量線法とFP(ファンダメンタルパラメーター)法の2つの方法があります。 検量線法では、厚みや成分比の既知の標準物質からの蛍光X線の強度を予め測定して、厚み(成分)との関係式を作成し(検量線といいます)、未知試料の蛍光X線強度をその関係式より厚みを求めています。 FP法では、予め登録してある元素のスペクトルと、未知試料から得た蛍光X線強度を比較して理論値で、厚み(成分)を求めています。
正確度は、検量線法の場合標準物質の精度に依存します。 標準物質は、ISO17025で認定されたラボで値付けされたものを用います。 標準物質の検査成績書(Certification)に“不確かさ”が記載されています。 FP法では、原則標準物質との比較はしていませんが、メーカーでは理論値による計算の精度を予め調べるなどして、より精度が向上するよう工夫しています。
メーカーではFP法の式は公表していません。FP法でも、標準試料を登録することが出来ます。より計算精度を上げるには、FP法でも標準試料を最低個数登録した方が正確度が上がります。
精度(再現性)は、蛍光X線膜厚計の場合、測定時間やコリメーター寸法に依存しています。蛍光X線の強度は、検出器によりカウント(計数)として取りますので、バラつき(標準偏差)はポアソンモデルから推定して、カウントのルートになります。(バックグランド等無視した場合)カウント数が多いほど標準偏差の相対値は小さくなります。つまり測定時間を長くとり、大きなコリメーターまたはキャピラリで集光して測定すると、測定バラつきは小さくなります。